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プライムハウスが、ハイブリッド構法を採用したCLT住宅「CLT秋田」の販売を始めた。東北地方では初の取り組みとされる。CLTとは、板を縦横に交互に貼り合わせて作る厚い木の板(直交集成板)のことだ。壁や床にそのまま使える強度があり、鉄筋コンクリートに近い剛性を木材で得られる。ハイブリッド構法は、このCLTを他の工法や部材と組み合わせ、強度やコスト、施工性の釣り合いを取る考え方である。杉の産地として知られる秋田で、地元の木を使った住宅が商品として売り出される点に意味がある。従来は公共施設や大型建築が中心だったCLTが、一般の戸建て住宅へ降りてきた事例といえる。

引用元: 【東北初】ハイブリット構法CLT秋田、プライムハウスが販売開始(PR TIMES)

分析・見解

大型建築向けの素材が戸建て市場へ降りてきた

CLTは欧州で1990年代に実用化され、中層の木造ビルを支える素材として広がった。日本では2016年に建築基準法の告示が整い、本格的な利用が可能になった。ただ、これまでの採用先は学校、庁舎、宿泊施設といった大きな建物が中心だった。戸建て住宅には、価格の高さと設計の自由度の低さという壁があった。

今回の販売は、その壁に商品として挑んだ例である。注文住宅を一棟ずつ設計する方式では、CLTの利点を生かしにくい。パネルの寸法や接合部を規格化し、売れる形に整えたことが、販売開始の前提になったと考えられる。

ハイブリッド構法という現実的な折衷案

CLTだけで家全体を組むと、材料費がかさむ。壁や床の一部にCLTを使い、残りを在来の軸組や既存の部材で補う方式なら、費用を抑えつつ性能を確保できる。これが、ハイブリッド構法の狙いである。

建築の世界では、純粋さよりも折衷のほうが普及する場面が多い。たとえば2×4工法は、規格化した部材を組み合わせることで北米の住宅を一気に大衆化させた。CLT住宅も、全部をCLTにするのではなく、効く場所に使う設計が量産の鍵になるだろう。断熱性や蓄熱性の高い厚い木の壁は、冬の寒さが厳しい東北で特に価値を発揮する。

林業の出口をつくるという地域経済の視点

秋田杉は、人工林の蓄積量が多い地域資源だ。一方で、伐採後の用途が限られ、建材として価値を生みにくい細い材や曲がった材の扱いが課題だった。CLTは、こうした材も板に加工して貼り合わせられる。素材のばらつきを製造工程で吸収できるからだ。

つまり、CLT住宅の売れ行きは、山の木が適正な価格で動くかどうかに直結する。住宅メーカーが需要を作れば、製材所、CLT工場、森林組合が同時に動く。ここで大切なのは、住宅単体の収益ではなく、地域の木材循環が回り始めるかどうかである。

普及を左右するのは性能より供給の安定

課題も残る。CLTの製造拠点は全国でまだ限られ、工場の稼働率が低いと単価が下がらない。規格住宅として量が出れば工場の稼働が上がり、価格が下がるという好循環が期待できる。逆に、販売が伸びなければ高止まりのままだ。

さらに、現場で組み立てる大工や職人の確保も問われる。パネルを吊り上げて接合する工程は、従来の木造とは作業の勘所が違う。研修と施工マニュアルの整備が、品質のばらつきを防ぐ条件になる。東北初という看板の価値は、最初の数十棟で品質と価格を安定させられるかで決まるだろう。

ビジネスへの影響

地域の工務店は差別化の選択肢が増える

新築着工が減るなか、価格競争だけでは消耗戦になる。国産材のCLTという物語と、断熱性という実利を組み合わせられれば、価格以外の理由で選ばれる余地が生まれる。自社で製造する必要はなく、提携や施工パートナーとして加わる道もある。まず見学会やモデルハウスで、手触りや室内の暖かさを体験してもらう設計が有効だ。

調達と原価の見通しを先に押さえる

導入を検討する企業は、CLTの調達先、納期、単価の変動幅を事前に確認したい。パネルの加工は工場で行うため、設計変更に弱い。確認申請の段階で仕様を固めておかないと、納期や費用が膨らむ。見積もりでは、材料費だけでなくクレーン費用と工期短縮による人件費の削減も合わせて比較するとよい。

補助金と脱炭素の訴求を営業の武器にする

木造の長期利用は、炭素を長く固定するため、脱炭素の取り組みとして評価されやすい。国産材の利用や省エネ性能に対する補助制度は年度ごとに条件が変わる。購入者の負担を下げる制度を把握し、提案書に反映させることが成約率を左右する。法人向けには、社屋や店舗への展開も視野に入る。

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