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CLT(=木の板を縦横交互に貼り合わせた厚い木質パネル)を使った軽量の木製敷板「ハイパーCLT敷板」が、建設現場向けに提案されている。想定する用途は、仮設道路、重機が作業する広い場所(ヤード)、資材置場などだ。5×10判(約1.5メートル×3メートル)1枚の重さは約230キログラムで、搬入や撤去の負担を減らし、施工の効率を上げられるとされる。木製ならではの利点として、夏場の照り返しの抑制、重機が乗ったときの金属音の低減、環境への配慮も挙げられている。さらに国土交通省のNETIS(=新技術情報提供システム)に登録された技術(TH-250021-A)であり、公共工事で採用を検討する際の後押しになりうる。

引用元: CLTを活用した軽量木製敷板、建設現場での利用を提案(イプロスものづくり)

分析・見解

鉄板の3割ほどの重さが、現場の段取りを変える

敷板とは、ぬかるんだ地面や仮設の通路に並べて、重機の重みを分散させる板のことだ。いまの主役は鉄板である。一般的な厚さ22ミリの鉄板敷板は、5×10判で800キログラム前後(目安)になる。今回の木製敷板は約230キログラムなので、重さは3割弱にとどまる。

数字の差より大きいのは、使える機械の幅が広がる点である。800キログラム級の板は、クレーン付きの車両か大型の重機がなければ動かせない。230キログラムなら、小型のショベルカーやフォークリフトでも扱える場面が増える。敷き替えや移設のたびに大型機械を手配しなくて済めば、待ち時間と段取りの手間が減る。

夏の照り返しと金属音という、地味だが効く利点

鉄板は日差しで高温になり、真夏は表面に触れないほど熱くなる。照り返しは作業員の体感温度を押し上げる。2025年6月から職場の熱中症対策が事業者の義務として強化されたこともあり、現場の暑さ対策は費用をかけても手を打つべき課題になった。木は熱を伝えにくく、表面温度の上がり方がおだやかだ。

もう一つは音である。鉄板の上を重機が走ると、ガンガンと響く金属音が出る。住宅地に近い現場では、騒音の苦情が工期を左右することもある。音が和らぐなら、近隣対応の面でも意味がある。

気になるのは耐久性と、何回使えるかという点

一方で、疑問も残る。木は水を含むと傷みやすく、重機の履帯(=キャタピラ)による繰り返しの荷重で端部が欠けることもある。鉄板は何百回も転用できるが、木製敷板が何回の使用に耐えるのかは、公開されている情報だけでは分からない。許容できる重機の重さ、雨の日の滑りやすさ、傷んだ後の処分方法も確認が必要だ。

敷板は買うよりも借りる商品として回る業界である。このため勝負は、1回あたりの貸出単価と寿命で決まる。軽さの利点があっても、寿命が短ければレンタル会社は採算を取りにくい。

木材需要の新しい出口になれるか

CLTは本来、建物の床や壁に使う材料だ。ただ日本では、工場の生産能力に対して建築での需要が伸び悩み、稼働に余裕がある状態が続いてきた。短期間で大量に使われる仮設資材という出口ができれば、工場の稼働を安定させる手がかりになる。北米では広葉樹の木製マットが重機の敷材として定着しており、木で重機を支える発想自体は新しくない。新しいのは、国産のCLTでそれを規格品として売り出す点にある。

ビジネスへの影響

比べるべきは購入価格ではなく、1回あたりの費用

導入を検討する建設会社やレンタル会社は、板の値段だけで鉄板と比べても判断を誤る。見るべきは、1回の使用あたりの費用である。運搬車両の大きさ、積み込みや敷設にかかる人手、手配する重機の規模まで含めて試算するとよい。軽さの効果は、小規模な現場や狭い搬入路ほど大きく出やすい。

暑さ・騒音対策の予算として説明できる

熱中症対策や近隣対応には、現場ごとに費用がかかっている。木製敷板が表面温度や騒音をどこまで下げるかを自社の現場で測っておけば、これらの対策費として社内で説明しやすくなる。まずは夏場の一現場で試し、表面温度と作業員の声を記録するのが現実的だ。

公共工事を狙うなら、NETIS登録を入口に使う

NETIS登録技術は、発注者に新技術として提案しやすい。活用すれば工事成績評定で評価される場合があるため、公共工事を受ける会社は、担当する発注機関の扱いを事前に確認しておきたい。ただし、評価が得られても現場で傷みが早ければ意味がない。メーカーには、荷重条件ごとの使用回数の目安や、雨天時の性能を数字で示すよう求めるべきだ。

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