ニュースの概要

銘建工業が、非住宅木造建築フェアに出展することを発表した。会場ではCLT(=板を直角に貼り重ねた厚い木の板)と集成材(=小さな板を接着して大きな柱や梁にした木材)を使った空間展示を行う。さらに、実際の建物にどう組み込むかを具体的に学べるミニセミナーを、同社として関西で初めて開く。カタログや図面だけでは伝わりにくい木造の質感や空間の広がりを、来場者が体で確かめられる場にする狙いだ。事務所、店舗、福祉施設、学校といった住宅以外の建物で、木を構造にも内装にも使う提案を前面に出している。材料メーカーが自ら設計者や施主に近づき、採用までの距離を縮めようとする動きといえる。

引用元: 【非住宅木造建築フェア出展】CLT・集成材を活用した空間展示を通じ、木造の可能性を発信 実装イメージがわくミニセミナーを関西初開催! | 銘建工業株式会社のプレスリリース(PR TIMES)

分析・見解

材料の性能より先に、採用までの不安を減らす

非住宅木造が広がらない最大の理由は、木の性能不足ではない。設計者や発注者が、使ったあとの姿を想像できないことにある。鉄骨や鉄筋コンクリートなら、過去の事例も見積もりの型もそろっている。木造は、その型がまだ薄い。

今回の空間展示は、この不安を直接減らす試みだ。図面や写真では伝わらない天井の高さ、梁の太さ、足元の質感を、実物大に近い形で見せる。人は数字よりも体験で判断を変えることが多い。

なぜ展示とセミナーを組み合わせるのか

展示だけでは「きれいだ」で終わり、セミナーだけでは「難しそうだ」で終わる。両方を組み合わせると、見て感じた印象を、すぐに設計や工程の話へつなげられる。実装イメージがわくという言葉は、まさにこの狙いを示している。

関西で初めて開く点も見逃せない。同社の拠点は岡山県真庭市にあり、これまで東日本や地元での発信が中心だった。大阪・関西は、万博後の建設需要や都市部の中規模ビルが多く、木造化の候補物件が見つかりやすい地域だ。販売の主戦場を広げる動きと読める。

CLTと集成材を使い分ける発想

CLTは壁や床の面を作る材料で、集成材は柱や梁の骨組みを作る材料である。両方を一社で扱えると、構造全体を一括で提案できる。設計者にとっては、窓口が一つになり、部材ごとの調整が減る利点がある。

たとえば、集成材の骨組みにCLTの床を載せる構成は、鉄骨造より軽くなる。基礎が小さくて済み、杭の量も減らせる可能性がある。ただし、これは地盤や階数に左右されるため、案件ごとの検証は欠かせない。

価格競争より、ばらつきの少なさが決め手になる

ここに一つ、見落とされがちな視点がある。非住宅木造で本当に求められているのは、安さよりも見通しのよさだ。納期と価格が読めない材料は、大規模な建物では敬遠される。

国産材の供給は、天候や原木の流通に左右される面がある。そのため、安定して供給できる体制を持つメーカーが、結果として選ばれやすい。展示は、品質だけでなく、供給できるという信頼を示す場でもある。

今後は、木造の中層ビルが一棟できるごとに、設計の標準的な型が蓄積されていくだろう。型が増えれば、見積もりも工期も読みやすくなり、採用の壁はさらに下がる。展示会の積み重ねは、その型づくりの地ならしになる。

ビジネスへの影響

設計者と発注者が早い段階で相談する価値

木造は、設計の途中から切り替えるのが難しい。構造の考え方が、鉄骨やコンクリートとは根本的に違うためだ。検討するなら、基本計画の段階で材料メーカーに相談するのが現実的である。

今回のようなセミナーは、その入口として使える。参加して確認したいのは三点ある。使える階数と規模の目安、耐火の考え方、そして概算の単価だ。この三点が分かれば、社内の稟議に必要な材料の大半がそろう。

脱炭素の説明材料として使えるか

木を構造に使うと、炭素を長く建物の中に蓄えられる。上場企業やその取引先では、建物の環境負荷を説明する場面が増えている。木造は、その説明を後押しする選択肢になり得る。

ただし、環境面の効果だけで採用を決めるのは危うい。コスト、工期、維持管理の三つを同じ表に並べ、鉄骨造と比べて判断するのが堅実だ。

供給面のリスクを契約に織り込む

納期の遅れは、木造に限らず大きな痛手になる。契約の際は、材料の確保時期、変更が出た場合の対応、保管場所の三点を、あらかじめ文書で確認しておきたい。

小さな案件から試し、実績を作ってから大型案件に進む方法も有効だ。まず店舗や福祉施設など、規模が小さく、木の魅力が伝わりやすい用途から始めるのが無理のない進め方である。

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